納豆の語源


私が子供のころ聞いた巷の説は、「納豆と豆腐は中国の発明である。大豆を腐らしたのが豆腐で、四角く納めたのが納豆だったのに、日本におっちょこちょいな人が伝えたので、名前が反対になってしまった。」という話しでした。

これは中国でも豆腐は豆腐で納豆ではないので間違った説と解ります。(念の入ったことに豆腐を発酵させた「腐乳」という食材があり、これはブルーチーズのような歯触りと強い臭いがあります。)

平凡社の世界大百科事典に依れば、「むかし動物性タンパク質を食べることができなかった僧が、タンパク質の豊富な大豆を,おいしく、消化よく食べるために研究をした所産が納豆であり、僧房の納所(なつしょ)でつくられ普及したものであるから,その場所名を冠して広義の納豆という語が生まれた。」ということです。

とすると納豆は日本特有の食品と言うことですね。詳しい方がおられたら教えて下さい。

...とお願いしていましたが、どなたからもご連絡はありませんでした。いろいろ調べてみましたところ、言い伝えは色々ありますが、定説は無いようです。

聖徳太子(574ー622)が滋賀県湖東町横溝で仏像を完成させその帰りに馬にやるために煮豆を作り、そのあまりを藁で包みそれが納豆となったという説。八幡太郎義家=源義家(1039?ー1106)が戦時に馬の飼料の煮豆を藁で包んで歩いてるうちに納豆化したという説。出家した光巌法王(こうごんほうおう1313ー1364)に村人が煮豆をとどけたものが大事に食べているうちに発酵したという説。など色々あるようです。

納豆菌は藁に付着するもので、熱に強く100度以上でもかなり生き残るそうです。また藁は米の収穫後束ねて干しますが、納豆菌は胞子に身を変え陽の光にも耐え生き残るそうです。藁は色々な道具として又梱包材料としても使われていました。米俵はその代表ともいえると思います。大豆を食べるには茹でる・蒸す。それをなにか(藁づと)に納めて保存する。ここで糸引き納豆が出来るのは必然でしょう。いずれにせよ糸引き納豆は日本独自のものと思われます。

ただし糸引き大豆発酵食品は日本の他、ネパール、インドネシアにあるそうで、ネパールのものは「キネマ」と呼ばれ枯草菌による発酵、インドネシアのものは「テンぺ」と言い、クモノスカビによる発酵だそうです。(96/5/18)


九州大学農学部の原敏夫助教授の著書「納豆は地球を救う」によれば、4つの説が紹介されています。

1. 元禄時代の「本朝食鑑」にお寺の納所で作られていたために、「納所豆」と呼ばれているという記述があるそうです。これが つまって納豆となった。

2. 納所で作られた豆を桶や壷に納めて貯蔵したため、納めた豆すなわち納豆と呼んだ。

3. 神棚に供えた煮豆にしめ縄が触れ、藁に住み着く納豆菌が繁殖し納豆化した。美味しい食べ物を授けてくれた神様に、納めた豆という意味を込めて、納豆と呼ぶようになった。

4. 大豆は栄養のかたまりで、栄養の納まった豆なので納豆という説。

原先生は、1番目の説が妥当としています。(971130)

でしょうか。


松井さんから新説を戴きました。いかがでしょうか?(971211)


大納言という官職があり、普通「ダイナゴン」と発音しますが これの訓読みは「おおきものもうすつかさ」です。

〔納=ナ=もの〕

豆の字は、伊豆 大豆 小豆にあるように「づ」「づき」 と読みました。

(「豆」の字は「づ」の音を表す万葉文字でもあります。) これから、納豆の訓読みを再現しますと、物附き(ものづき) になります。 もの(細菌)が附いたマメというところ でしょうか。



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